NPO仕事と子育てカウンセリングセンター
活動レポート活動レポート:シンポジウム
第1回【仕事と子育て】カウンセリングシンポジウム

シンポジウム「社員にカウンセリングを提供して」

大西裕美(P&G健康管理室・ヘルスシステムマネージャー・産業看護師・産業カウンセラー)

【仕事と子育て】カウンセリング-プレシートの効果


それでは、この【仕事と子育て】カウンセリングについて私が感じた特徴もしくは感想といったものを最後にご紹介したいと思います。

ひとつは、カウンセリングの前にクライアントに記入してもらう「プレシート」がとても効果的であることです。この「プレシート」は、「自分らしく、もっと輝くために――「プレシート」は、仕事と子育てについてのビジョンを明確にするための第一ステップです。」というフレーズで始まり、クライアントにいくつかの項目について記入をしてもらいます。

たとえば、【仕事と私】という部分では.今の仕事を続けたいと思っているか、仕事を通じて得たいものは何か、仕事と子育てを両立させたいのはなぜか、10年後、仕事でどうなりたいですか、その実現のために必要なことは何か、といったことを考えて、可能な範囲で記入してもらいます。

また、【子育てと私】という項目では、子育てにあたって大事にしたいことは何か、子どもをもつことは仕事にどのような変化をもたらすだろうか、仕事と子育てを両立することで職場にどのような影響があると思うか、仕事と子育てを両立する上で自分ができる工夫は何か、一人ではできないことは何か、といったことです。

【パートナーと私】という項目もあり、両立についてパートナーと具体的に話し合ったか、なぜ働きたいのかについてパートナーはどの程度理解しているか、パートナーに望むことは何か、その実現のために必要なことは何かといったことも記入してもらいます。

そのほか、どのような支援を周囲から受けられるか、精神面を支えてくれる人は誰か、自分自身の健康について気になるところはあるか、などについても考えてもらいます。

このシートを記入する段階で、実はかなり自分のことを見つめなおし、自分のことがわかってきます。ここで一旦考えて、記入をしてカウンセリングに臨むことにより、本人もカウンセラーと話がしやすくなり、カウンセラーもシートを見ることによって、問題のポイントがつかみやすくなります。これによって50分という限られた時間をより有効に使ってカウンセリングを行うことができます。

もうひとつの特徴、これは特徴というより私の感想といったほうが適切かもしれませんが、この【仕事と子育て】カウンセリングはとても前向きで、カウンセラーも幸せな気持ちになれるカウンセリングだということです。

普通、カウンセリングというと、大きな悩みを抱えている人の問題を少しでも和らげることを目指して行うことが多い、いわばマイナスの状態をどう少しでもマイナスを減らすようにするかということが多いのですが、【仕事と子育て】カウンセリングはそうではありません。これから両立をしようとしている人たちが、より充実した両立、自分の価値観を大切にした両立、なりたい自分により近づける両立を、ビジョンを作ることによって支援していく、とても前向きで明るいカウンセリングです。

同僚に、「大西さんがカウンセリングをした人、カウンセリングが終わって部屋から出てきたときの顔つきが生き生きとして輝いていた、部屋に入っていったときの顔とずいぶん違っていましたよ」と言われ、嬉しく思ったこともあります。

また、「子育て」という身近なトピックなので、カウンセリングの最中に「大西さんの場合はどうでしたか?」などと私の経験を聞かれることもあります。そのようなときには、カウンセラーという立場を超えて、自分の経験などをお話することもありますが、それはそれでいいと思っています。一人ひとりの気持ちによりそってお話をし、その人が「なりたい自分」に一歩でも近づけるようにサポートすることがこのカウンセリングの目的ですし、それによって、私自身も幸せをもらっていると強く感じています。

企業には様々な支援制度がありますし、そのような制度を利用できる雰囲気も整ってきていると思います。それでもやはり、一人ひとりの社員はそれぞれ何らかの不安や悩みを抱えていると思います。子育てはプライベートなものなので、会社の制度だけですべてが解決するものではないからです。

ですので、一人ひとりが、そのおかれた環境のなかでじっくりと自分と向き合い、パートナーと向き合い、自分の価値観を確認して「なりたい自分」をはっきりさせ、そのために何ができるかを考えることは、充実した人生のために大切なことだと思います。それは自分自身がやらなければならないことで、人がやってくれるものではありませんが、その手助けをするのがカウンセリングではないかと思っています。

これからも社員に【仕事と子育て】カウンセリングを提供して、私も元気をもらいたいと思っていますし、いろいろな企業でこのカウンセリングが提供されるようになるといいなと心から思っています。