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No.38 延長保育

No.38 延長保育

秋は気持ちがいいですね。夏はいろいろと熱かったです。3歳の娘は、流行の感染症に3回もかかりました。1~2歳のときの夏かぜは高熱で、熱性けいれんが起きましたが、今年は発疹がメイン。成長して軽くすんだかと思う反面、かからない子も多いから不思議。

 

この夏は体調が悪いというママの話をよく聞きました。私も娘の病気がうつったり、胃腸がもやもやしたり。お盆休みはなく、病気の合間をぬって近場にお出かけ。ママは汗を流してサービスです。神社のお祭りを見て、映画館へ。水族館に行ったら行列で、イルカのショーは抱っこで立ち見。アシカと一緒に写真を撮って、夏気分は味わえたかな。

 

すずしくなったら保育園の運動会。無事に当日を迎えました。ダンス、かけっこ、体操、お姉ちゃんたちとの団体戦、親子競技…。3歳クラスは、ぐっと出番が増えます。2歳のころは一生懸命にかけっこして踊った娘が、余裕で走り抜け、にこにこしながらダンス。保育園の日常はほとんど見られないので、成長ぶりがわかるチャンスです。

 

そんな盛りだくさんの日々、ママの勤務時間が遅くなりました。残業がプラスされたのではなく、時間帯が後ろにずれた形。職場で言われてから、まず延長保育の申し込みに取りかかりました。それまでも単発の利用はしていて、保育園に電話して空いていれば当日でも大丈夫。ただ月に何回までと上限があり、費用もかさむのでレギュラー化を申請したのです。園で書類をもらい、パパママの勤務先で勤務証明を作り、また役所に提出という手順。2年前はレギュラーの枠がいっぱいで、空きが出るまで何カ月も待つと聞きました。

 

延長保育の時間は、自治体や園によって決まっていて、娘の通う園は午後7時半まで。その後はありません。職場で言われた時間だと、延長保育をしても間に合わない。周りの人に相談したところ、「お金を払えば、延長できるでしょ」「自費でタクシーを使うとか、かけつければ間に合うのでは」とのコメント。そんなに単純な話ではないのですが…。

 

迎えに行かなきゃいけない親にとっては、30分、1時間の違いが大きい。ぎりぎりにかけ込んで最後のひとりになったらかわいそうだし、先生を待たせても悪い。6時半過ぎに軽食を食べさせてくれるものの、帰宅してからごはん、お風呂、絵本を読んで、寝て…という時間がどんどんずれ込んでしまいます。ずーん、と心が重くなりました。

 

かけ込みの日々になると、アラフォーママの体力が心配です。保育園にお迎えに行って自宅で待っていてくれるシッターさんも探しました。夜にできる人が少ないそうで、いまはお迎えは頼んでいません。預かってくれたらだれでもいいわけでなく、娘がなつくのに時間がいるし、信頼できる人にお願いしたいと模索中。費用や気持ちの面で賛否はあると思いますが、お迎えに限らず病気や緊急時もあり、パパママ以外の人手も必要なのです。

 

その後のことをお伝えしますね。書類を勤務先に提出し、書面ができるまで1週間はかかりました。「遅くまで働いている」証明として、3カ月間の細かい出退勤記録つき。それを保育園に出して役所に申請しても、すぐにはOKが出ません。1カ月は単発で利用。審査に通り、次の月からレギュラーになりました。料金は、月の保育料に数千円の上乗せです。

 

申し込むときに、保育園の園長や副園長に相談しました。事情を説明すると、「いまは枠が空いているから」「大変だけど頑張りましょう」と声をかけてもらいました。小さな変化とはいえ、親子で新しい生活を始めるわけで、話すだけでも気持ちが整理されます。

 

手続きしつつ話し合いを重ねた結果、初めに言われた時間よりは早く職場を出られることになりました。延長保育だとクラス担任と会えない日も増えるので、メモを渡してやりとり。子ども時間は朝型。夜にずれ込むのがきつく感じて、余力があれば出勤前に軽く家事をしてしまいます。夜ごはんのしたくも微妙な時間。延長の日は、おかずを作っておいたり、「きょうは買って帰っちゃおう」と心に決めたりして、無理しないようにしています。

 

娘はお友達と遊べるし、「きょうは延長番!」と喜ぶ日も。それでも長い時間、保育園で過ごすので、疲れて不機嫌になる日もあります。体調が悪ければ延長もできません。運動会のあと、登園停止になる病気にかかったときは、複雑な気持ちでした。延長保育で疲れがたまったのかも、大人の都合でかわいそうかなと。

 

今回、気になったのは、もっと遅くまで仕事がある場合。ある専門職のママは、「出張したとき、パパとお留守番の娘が泣き続けて困った。それ以来、出張や遅い仕事を控えている」と話していました。近所の会社員ママは、時間短縮勤務が終わり、残業が多いとか。パパと迎えを分担して、かなり遅くまで働く日も。ママが「そんなに仕事したくないのに」と嘆いていました。彼女の場合は残業代も出るし、責任の重い仕事をすれば昇進や評価もついてくるみたいですが、悩ましいでしょうね。

 

夕食を頼める保育園や、もっと遅くまで預かってくれる園もあります。親も保育園の先生も、働き過ぎかもと思いました。「長時間労働を減らそう」と声が上がる一方で、「働くママが増えたのだから、ママも遅くまで働けるようにしないと生き残れない」とのプレッシャーを感じます。遅くまで職場にいることが評価され、残業代がもらえる仕組みは変わっていません。残業の代わりに早く出勤して仕事を進めても手当は出ないので、朝型ママは切ない…。また違う厳しさを感じた、延長保育デビューでした。

(なかの・かおり 39歳で初産。会社員生活は、20年目になりました)