NPO法人 【仕事と子育て】 カウンセリングセンター

連絡先

NPO法人【仕事と子育て】
カウンセリングセンター事務局
住所:〒104-0045
東京都中央区築地2-12-10 築地MFビル26号館5階
TEL :  03-5565-4923
FAX :  03-5565-4914
MAIL: info@shigoto-kosodate.net

ページタイトル

No.32 グローバル子育て・メキシコ編

No.32 グローバル子育て・メキシコ編

駐日メキシコ大使館次席のアルマンド・アリアガ・オチョアテギさん(49)は、笑顔がやさしいパパです。お嬢さんが娘と同じ3歳で、以前は同じ教室に通っていました。ママ(奥様)は東京でファッションのお仕事をしています。アルマンドさんがメキシコに単身赴任している間は、ママが東京で子育て。我が家も同じような境遇だったので、ママと遠距離子育てについて話したり、おやつをもらったり。ベビー時代の貴重な出会いでした。パパとして奮闘するアルマンドさんから、メッセージをいただきました。メキシコの子育てについて、現地からのお話も紹介します。

 

アルマンドさんは、日本の大使館で1991年から働き、行き来しながら日本に長く滞在しています。メキシコで働いていた2012年に、お嬢さんが東京で生まれました。2013年にまた日本に戻ってきました。

 

それからパパとして、一緒にいられなかった分も、たくさんの努力をしてきました。「毎朝、娘をスクールに送っていきます。週末には、できる限りたくさんの時間を一緒に過ごし、プールや公園に連れていきます」。ママも仕事で忙しいので、フルタイムでベビーシッターを頼んでいるそう。月曜から金曜まで、パパとママを助けてくれます。時々は週末にもシッターを頼んでいるそうです。

 

日本の子育て環境については、「日本はとても安全な国。たとえば動物園や水族館など、遊びに行ける場所がたくさんあります」とのこと。東京は便利だけど、息苦しさもあるのかなと思っていましたが、そういうプラスの視点があるのですね。

 

メキシコでは、たくさんのママが働いていて、家族が子どもの世話をしてくれるそうです。東京の大使館で働いたことがあり、いまはメキシコ在住の岩村華子さん(35)からメールが届いたので紹介します。

 

―メキシコはどんな国ですか。
「メキシコの人口は日本とほぼ同じ、約1億2千万人ですが、大きな違いは平均年齢がメキシコのほうが若いということです。つまり労働人口が多い、そして購買年齢層が多いという点で、とても若く活力に満ちた国です。国土は日本の約5倍と大きく、自然や鉱物、農産、海洋資源も豊かです。製造業や自動車産業が盛んで、ほとんどの大手自動車メーカーの工場が立地し、世界中に自動車や自動車部品を輸出しています。グローバル企業にとって非常に魅力的な投資先・貿易相手国として発展しています」

 

―子育ての状況は?
「メキシコは貧富の差が激しいので、お金を出せば、よいサービスを受けられます。お母さんが専業主婦でも、上流階級であればナニー(ベビーシッター)を雇うのは常識。ナニーが子供の世話をしてお母さんは社交に出かけます。貧困~中級層は家族が子育てを手伝っています。共働きの家庭では、おじいちゃんおばあちゃんが学校に子供のお迎えに行くのも普通です」
「保育園はたくさんあります。学費が高い私立、学費が無料の半公立、公立があり、オフィス街に近い保育園は人気があって入れない園もありますが、日本みたいに待機児童が多いということはほとんどありません。公園や児童施設もたくさんあり、メキシコでは治安の問題上、必ず親が同伴しないといけません」

 

―シングルマザーが多いそうですね。
「高齢出産もありますが、どちらかというとまだ、低年齢の出産が多いように思います。そのためシングルマザーが多いです。未婚のママも多いし、離婚率も高いです。それゆえ、シングルマザーにとてもやさしい社会で、ご近所の人が助けてくれて、行政の助成もあります。予防接種も公的な保健所に行けば無料です。女性はとても働き者で、シングルマザーはたいてい働いています。そして親と同居して家族の経済的・精神的な支援を受けている人が大半です」
「習い事は、空手、バレエ、水泳、各種ダンスなどが盛んです。貧しい家庭の子どもでも、地域の文化センターのようなところで無料でダンスや水泳などのレッスンも受けられるので、ある意味、日本よりサービスは充実しています」

 

―出産の環境は。
「メキシコでは病院のランクに関係なく、帝王切開が主流です。ほとんどが病院での分娩で、衛生・医療状況は病院のランクによって全く異なります。お金さえ払えば日本以上のサービスが受けられるし、逆に社会保障内で出産できる病院は、超シビアな環境です。産休は産前45日、産後45日が法律で決められています」

 

―子どもにやさしい国ですか。
「子育てはしやすいと思います。普通に道を歩いていたりバスに乗ったりしても、子どもにやさしいです。上流階級の家庭だと近所との付き合いはあまりないとは思いますが、特に田舎などでは近所の人たちみんなが子供の名前も覚え、みんなで協力しあって生活を営んでいます」

 

気軽にナニーやシッターを頼む。お金がなくても、助け合いや助成でママが孤立しない。それぞれの工夫が参考になります。アルマンドさん、岩村さん、ありがとうございました。

 
(なかの・かおり 39歳で初産。会社員生活は、20年目になりました)