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No.28 産後の体④ 復帰へ向けて編

No.28 産後の体④ 復帰へ向けて編

産後の体について、最終回です。実感としては、娘が2歳になって卒乳するまで「産後」が続いていましたが、1歳になって育休から復帰する前で一区切りにしますね。

 

6カ月を迎えた娘とママ。離乳食を始めました。おっぱい以外にも、おなかを満たせるものがあったほうがいいと思ったからです。おかゆや野菜のとろとろなど、頑張って作っても、おっぱい大好きな娘はスプーンがイヤイヤ。ゆっくりペースでした。初めて娘がかぜをひいたのもこのころ。看病や通院で、親子ともぐったり。ひとり目の子育ては、わからないということでストレスが大きくなります。

 

最大のチャレンジは、7カ月の娘とママだけで飛行機に乗ることでした(コラム№14「飛行機デビュー」もお役立てください)。夫が海外に単身赴任中で、中間地点のバンコクに集合。パスポートやチケットを取るにも一苦労です。壁に取り付けるベビーベッドを使えるのは何カ月まで、何キロまでとか。電話しないとベッドが使える席を予約できないとか。航空会社によって対応が違う。払い戻しや取り直しのやりとりを何回もしました。

 

娘を抱っこして空港にたどりつくと、サポートしてくれる職員の手配は事前に予約がないとNGで、驚きでした。ドキドキだった行きの便は、おもちゃやおっぱいの工夫で、大泣きすることもなく無事。帰りは夜便で揺れてママは気持ち悪くなってしまい…。やっと帰り着きましたが、ベビー連れの旅はサポートがあったほうがいいですね。産後のママは「自分しかいない」とテンションを上げてがんばっちゃう。そして反動がくる。「助けてもらえなかった」というトラウマが残るのです。

 

ママの体力も少しずつ、つけるようにしていました。ベビー連れOKのヨガ・ピラティスは産後まもなくから、ハイハイやつかまり立ちが活発になる10カ月まで通いました。それから育休中に、フラスタジオの発表会で「親子フラ」という企画があり、7カ月の娘を抱っこして大きなステージに参加しました。初めは雰囲気だけと思っていましたが、ママ仲間と励まし合いながら、家で動画を見て振り付けを覚えたんです。

 

器用なママさんがヘアメークしてくれて。大きい子はダンス。ベビーは抱っこひもに入り、ママたちも1曲、踊ることができました。抱っこしながらのダンスは、ほかにもあるみたいだけど、腰に負担はかかるので様子をみながらね。単純に楽しい趣味、っていうのとも違う。子育てにどっぷりなママこそ、目標を作り、「できた!」って思える機会が大事。

 

ものすごく困ったこともありました。8カ月のとき、ママが胃腸炎に。もやもやするなあと思ったら吐いてしまい、うつる病気だったら大変と、抱っこで救急外来へ。母娘を寝かせてくれる部屋もなく、待合室のベンチに横になり、娘をおなかに寝せました。「お世話ができなくなったら、どうしよう…」と思い詰めて、心細かった。途中、授乳室にかけこんでけろけろ…。娘を抱えてへたり込みです。

 

3時間ぐらい、かかりました。診察室に呼ばれると、娘はドクターの話を聞いてにこにこ。治療法はなし。脱水に気をつけること。ママは経口補水液を飲むよう言われ、買って帰りました。その後も食べられないし、起き上がるのもつらいし、娘の離乳食やおっぱい、お風呂など厳しかったです。娘にうつらなかったのが幸いでした。「絶対に倒れたくない」「病気にならないように」という思いがますます強くなりましたね。

 

10カ月のときは再びバンコクへ。空港のサポートは事前に頼み、機内で離乳食のおかゆも出してもらいました。1歳になってすぐ(保育園に入る直前)には、さらにバンコク経由で夫の赴任地へ。初めはママの体力や、ベビーの衛生・安全面で無理かなと思っていましたが、「いましか、行く機会がないかも」と決断したのです。

 

大使館にビザを取りに行ってもめたり、事前にサポートを予約したりして準備。タイのエアラインや空港スタッフは子ども好きで親切でした。でも目的地についたら、娘と荷物を抱えていても、だれも声をかけてくれません。滞在中は衛生面であやしいと思うものが多く、帰国してからママはおなかを壊し、娘はひどいせき。仕事をしながらだと、こういうリスクのある旅はむずかしいかも。育休中だったので、具合が悪くても調整できました。

 

4月から保育園に入れるという通知が来たのは3月初め。説明を聞きに行き、ひとりずつマークを決めてグッズにつけるとのこと。マークのししゅうは、飛行機の中で娘が寝たときにちくちく。先生に「指定通り、手作りで」と言われ、袋物もすべて縫い上げた私。授乳の疲れからか、以前より縫い物がきつく感じます。目や肩が痛くなって、泣きそう。あとで聞いたら、既製品やおばあちゃん頼みのママも多かったです。

 

仕事に復帰してみると、育休中はまだ余力があったなと実感。ひとりでベビーを育てるのは孤独でしたが、母性を全開にして「ママ」という世界で生きていた。授乳で寝不足でも娘が動き始めて目が離せなくても、仕事をしながらの日々よりは、カバーする時間があったのです。仕事に戻ったら、会社という「男社会」になじみ、保育園という新しい仕組みに慣れ、あちこちで頭を下げなければなりません。ママスイッチ、男スイッチの切り替えに体力がいります。そして突然、やってくる子どもの病気(コラム№21でまとめました)。

 

産後の心についてや、働くママへと進化する過程は、またお伝えします。

 

(なかの・かおり 39歳で初産。会社員生活は、20年目になりました)