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No.11 妊婦さんへ・つわり編

No.11 妊婦さんへ・つわり編

読んで下さっているかたへ…いま、妊娠中ですか? お知り合いに妊婦さんはいますか?

働きながらの妊婦生活は大変ですよね。私は妊娠初期に、いつ上司に伝えるか悩みました。流産の経験があったので早めに言うのも抵抗があり、でも言わないと仕事の内容にかかわります。しかもつわりがひどい時期に部署を異動したので、気をつかいました。具合が悪いけど休めないし、周囲の人にも言えず…。

 

今回はちょっと気持ち悪い話です。つわりに苦しむ妊婦さんや周囲のかたには、参考になるかもしれないので、具体的に記したいと思います。つわりが全くないという人もいれば、出産まで続くという人も。私はわりと重かったのですが、振り返ってみれば数カ月のことでした。2歳の娘がおなかにいたころの日記を開いてみました。

 

妊娠2カ月ぐらいの7月に「つわり…けっこうきてます」「むかむかと、だるさ、暑さがすごいですー。製造してるよ元気にビシバシ!」とあります。特定のものを食べ続けるタイプではなかったのですが、おなかがすいても気持ち悪いのでちょこちょこと食べていました。出血したときにクリニックに電話すると、「安静にしたほうがいいけど、仕事を休むかどうかは自分で決めて」と言われ悩みました。まもなくベビーの心拍が確認できて、産婦人科に予約するなど成長しています。

 

8月に入り、別の部署のベテランママ(管理職)に相談し、どの上司にいつ言うかアドバイスしてもらいました。そして毎日、吐いていました。何が大丈夫かは食べてみないとわからない。ロールパンにチーズをはさんだものは食べられたので、会社に持参したことも。キャンディやカフェオレ、野菜ジュースはNG。産婦人科でもらった胃薬は、あまりききません。夕方から夜になると特に体調が悪くて、眠い、むかむか、けろけろです。週末ははりきゅう師の女性に自宅に来てもらい、妊婦でも大丈夫なマッサージをお願いしました。

 

暑い夏で、熱中症が怖かったです。スポーツドリンクは味が受け付けませんでした。アイスでカロリーをとっていましたね。気分をまぎらわそうと、音楽を聴いてみました。バッハが好きなのですが、マタイ受難曲は妊婦には重すぎました。ハワイアンソングはOKで、CDを繰り返し聴いて横になっていました。食べることへの渇望がすごくて、だれかに作ってもらったふつうのごはんが食べたかった。実際は作ってくれる人がいないのですが。食べたいものを書き出して、「安定したら遊ぶぞー!」って自分を励ましていました。近所のヘアサロンでは、シャンプーだけなら大丈夫でした。

 

せっかくの夏休みも、家で休養です。夫は1週間、フィリピンの英語学校へ。「ガラスの仮面」「プライド」など家にあったマンガや、好きな作家さんの子育て日記を読んでまぎらわせました。難しい本、長い文章は読めません。近所のママが「買い物ぐらいするからね」と言ってくれましたが、彼女も小さい子を抱えて働いているので頼れませんでした。

 

つわりがひどい時期は、気分も落ち込むし手助けが必要なのに、言えなくて孤独。ママ友もまだいない。健康に生まれてきてね、と祈るだけでした。そんな中、検診に行くと、まめつぶみたいだったベビーがヒトの形に。ドクターも「動いたわよ。全身がびくっと!」と言ってくれました。帰り道にけろけろでしたが、育っていることが支えです。ベビーの製造に、栄養もパワーもすべて使っている…自分は動物だなと思いました。

 

8月下旬になっても日記は毎日、けろけろの話です。会社で食べたサンドイッチ、ヨーグルトも…。夫がテイクアウトした韓国料理は、とうふ、スープ、おもちだけ食べられました。お米は受け付けず、しばらく食べなかったです。においにも敏感になり、キッチンに無香料の消臭剤をおいてもNG。マスクをしても、会社前の交通量の多い道路がきつかったです。水道水も気持ち悪くて、浄水ポットを洗面所に置きました。

 

9月の異動を前に、初めて百貨店のマタニティコーナーに。割高ですが、どの通販で買っていいかわからなかったので。のびるレギンスや授乳にも使えるキャミソール、ワンピースを買い、店員さんに励まされました。短い外出にも疲れ、家に帰って倒れ込みました。

 

いっときはピークを越えたかと思いましたが、9月に入ると、部署を異動したのでその緊張から体調が悪くなりました。暑くて眠れない。冷房のにおいや風も気持ち悪く、頭は熱いのに足は寒い。洗濯物はたまるし、食べられるものは少なくて、くつろいだ気分になれない。「もう12週なのに、いつおさまるの?」と先が見えなくて落ち込みます。寝るときに、アイスパックを頭にあてるのが唯一の楽しみでした。出張マッサージの女性はときどき、おいしいお店のパンを買ってきてくれて助かりました。

 

鏡を見ると、鼻のわきのほうれい線がくっきり。お肌の手入れもさぼっていたし、栄養も足りないんですね。あわてて美容液とクリームを塗ってみました。このころ、母子手帳をもらいに行きました。前回の妊娠のときは、早くもらって流産してしまい、悲しい思いをしたので。外食は少し、できるようになりました。つわりで寝込んでいるとき夢に見たベトナム料理のお店に行き、蒸し春巻きやフォーが食べられたのです。おそばやさんの冷やしうどんも大丈夫でした。会社帰りに食べた洋食屋さんのコロッケはあとで…でしたが。

 

もうすぐ安定期だから周りの人にも言える、と思っていたある日。夫から海外赴任が決まったと告げられました。ベビーと行けるような国でなかったので、おなかから出てきちゃうのではと思うぐらい驚きました。だけど生きていくしかありません。ときどきは家で作った料理も、食べられるようになりました。お米はまだリハビリ中で、おかゆとか一口だけとか。それまでシャワーばかりでしたが、湯船に久しぶりに入りました。

 

10月、安定期の16週に入ると吐き気やもやもやがあっても、食べたいものを食べていました。ベビーの名前も考えはじめ、友人と会ったりマタニティヨガに行ったり。栄養と運動の不足でふらふら。体力を戻すのが大変でした。とにかく疲れやすく、スケジュール詰め込みや次の用事にダッシュができなくなりましたね。

 

その後、39歳の誕生日はレストランでお祝い。ベビー連れだとディナーはしばらくできなくなるかと思い、少しずついただきました。家でおなべをしたり、夫の渡航準備で買い物に行ったりも。いったん減った体重もプラス2キロに。10月下旬の戌(いぬ)の日に水天宮で安産を祈ったとき、おなかのベビーがダンシング。いつのまにかつわりは終わっていました。安定期については続編でお伝えします。

 

(なかの・かおり 39歳で出産。約20年、メディアの仕事にかかわっています)