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No.6 ママトーク・牧野アンナさん

No.6 ママトーク・牧野アンナさん

AKB48の「ヘビーローテーション」や「フライングゲット」など、一緒に踊りたくなるヒット曲を振り付けているのが、牧野アンナさん(42)。安室奈美恵さんと一緒にデビューし、沖縄アクターズスクールでスピードやマックスなどのスターを育てたキャリアがあります。2002年からは、ダウン症者のためのダンスや演劇のスクール「ラブジャンクス」を主宰し、東京・大阪・横浜・沖縄を拠点に約1000人のメンバーがいます。アンナさんとはお仕事で知り合ったのですが、私と同じ2012年に女の子を出産したことを知り、久しぶりに再会。高年齢での妊娠・出産、仕事と育児の両立など、40代ママトークで盛り上がりました。ますます輝くアンナさんのお話を紹介します。

 

―妊娠の経過はいかがでしたか。
「実は2回、流産してしまって、悲しい思いをしました。はじめは、高年齢だし、ある確率で起こることだからと受け入れられたのですが、2回目のときは大泣きして、赤ちゃんのCMも見られなかった。それから体を温める岩盤ヨガをしたり、いいと言われる漢方を飲んだり、体質を改善するように努力しました。3回目に妊娠がわかったときは、産婦人科でひんぱんに診察してもらい、必ずだんなさんに付き添ってもらいました」
「5カ月に入って周りの人に話して、おめでとうと言われても、私はお母さんになれるのかな?と思っていました。つわりがなかったので、逆におなかの赤ちゃんはどうしているか不安で。胎動を感じられるようになると、朝は『生きているかな』、夜は『明日も元気でね』と話しかけました。高年齢の妊娠でしたが、いろいろな子どもたちに出会ってきているし、どんな状態の子が生まれてきても大丈夫、と夫婦で一致していました。2012年6月、娘が無事に生まれてきたとき、やっと会えたね、ありがとうと涙が止まりませんでした」

 

―産後の体調はどうですか。
「破水して入院し、無痛分娩だったので体力の回復は早かったです。でも、産後がこんなにきついとはだれも教えてくれませんでしたよね。ひどくむくんで、出産時に切れて縫った傷は痛いし。産後の入院中に、はじめて母子同室にしたときは、一晩中、おっぱいをあげていました。1時間かけて飲み終わったと思ったら、10分後にまた…。最初の1カ月は、一日中、おっぱいを出しっぱなしでしたね。同居している母が食事を作り、相談にのってくれたので心強かったです」
「おっぱいのトラブルには悩みました。産後2カ月ぐらいのとき、初めて娘と離れて2時間ぐらい、ヘアサロンに行ったら、おっぱいが爆発するかと思うぐらい痛くなって脂汗が出て、発熱。母乳には食べ物が影響するというので、野菜中心にしてお肉や甘いものを控えてもトラブルが起きやすかった。4カ月ぐらいのとき、おっぱいをやめました。初めの3日間は、助産師さんの指示通り、6時間おきに自分でしぼり、キャベツの葉で冷やしました。それでもかちかち、ボコボコ、シャツが当たっても痛いぐらいでした。3日目の朝にしぼってもらっても、ごつごつが残るぐらい。さらに2日後にみてもらい、1週間ぐらいで卒業しました。粉ミルクにしたら、娘の便秘が治り、体重も増えたのでよかったです。寝る前にミルクを飲むと朝までぐっすり寝てくれるので、私も眠れて体力がつきました」

 

―仕事はすぐに再開しましたね。
「産後、1カ月で仕事に復帰すると決めていました。ラブジャンクスのレッスンに行きましたよ。1カ月半ぐらいのときには振り付けの仕事を再開。AKB48のコンサート曲だったのですが、現場に行って、メンバーたちに自分で踊って見せました。ラブジャンクスやタレントさんのレッスンは木・金・土・日にあります。それ以外に振り付けの仕事を受けるときは、まずだんなさんと母のスケジュールを確認します。車で行けるか、保育園に預けられる時間内か、どうしてもやりたい仕事かどうかも大事な条件ですね。母やだんなさんに付き添ってもらって、娘を連れて一泊の仕事や海外ロケに行ったこともあります」

 

―だんなさんとの関係は。
「だんなさん(ダンサーのぱおさん)とは、ラブジャンクスの仕事を通して知り合いました。年下で、私の仕事を理解してくれて子ども好きな人。娘をあやすのは得意です。飛行機に乗っても、娘が喜ぶゲームのアプリを用意してあるし、抱っこしてくれるので困ったことがありません。だんなさんが全部やってくれるので、外出先で私がおむつを替えたことがないんですよ!」
「それでも初めは大変でした。もともと別居結婚だったので、だんなさんは産後1カ月は大変なところを見ていません。3カ月から同居したのですが、初めはこれをこうして…と細かい指示を出していました。どうしても気がつかないところはあるんですよね。私が仕事のときは、母から『寒いかもしれないから、上着を用意してね』など具体的に言ってもらいます」

 

―出産・子育てを経験して、仕事への思いは変わりましたか。
「ラブジャンクスに関しての考え方はだいぶ変わった気がします。いままでは、何かを成し遂げることが大切だと思い、結果を出せるよう努力してきました。ダウン症の子たちの中からスターを出したいとか、もっと世の中で知ってもらうためにテレビなどに積極的に出演しようとか…。でも我が子が生まれて、私が親として強く願ったことは、娘に何か大きなことを成し遂げてほしいということではなく、たくさんの友達と出会い、笑顔でいられる人生を送ってほしいということでした。もちろん何かを成し遂げることも大切だけど、それ以上にみんなが楽しく、笑顔を共有できるラブジャンクスでありたいと願うようになりました」

 

☆ お会いして ☆
大きな愛でダンサーを育て、夢を与えてくれるアンナさん。「何かを成し遂げるのも大事だけど、子どもたちには笑顔でいてほしい」。アンナさんのこの言葉が忘れられません。アラフォー初めてママならではの大変さ、楽しさを分かち合い、励みになりました。

 

(なかの・かおり 39歳で出産。約20年、メディアの仕事にかかわっています)